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ぎってぃ家の日常 =せかんど-=

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カンチャナブリー編 その2

【2004年11月14日(日) 2日目、”Unseen in Kanchanaburi!”】


どこからか聞こえた鶏の雄たけびに午前2時半に起こされたものの、本格的な起床は8時をまわってからだった。ちょっと寝坊。寒いので、冷水シャワーはパスして、顔だけ洗い、ゲストハウスのレストランへ。

レストランの先客は100%西洋人!そろいもそろって、食べてるものはトーストに玉子焼き。『タイに来たんだからタイ料理食べろよ!』と内心思うものの、自分もビュッフェいけば、ここぞとばかり日本食食べるのでちょっと反省。ごめんなさい。私たちは『クッティオ・ナーム・ムー(豚肉入り汁そば)』とコーヒーを注文。クッティオは野菜のお出汁ですごく優しい味でおいしかった。

腹ごしらえも済んでいよいよ観光に出発!まず最初に目指したのは『ガセー』という駅の近くにある鉄橋。ここは泰緬鉄道の中でも難所であって、崖のすぐ横に作られた全長約600mの鉄橋。T.A.T.でもらった地図をたよりに一路、目指すガセー駅へ!…のはずがなんだかものすごい田舎に迷い込んでしまった。前方で道路の舗装も終わり、このまま進んだらミャンマー国境に出てしまうんじゃないかと不安に思った頃、ジョブも「ちょっと道を聞いてみよう」と言い出した。「さっき通り過ぎたリゾートホテルの人に聞いてみよう。」とジョブ。こんな所にリゾートホテル?うん、確かにあった。Uターンし、門をくぐると、ホテルまであと400mの看板。ピンクや白の花が咲き乱れ、スプリンクラーからの水は、いかにも涼しげ。しかし目に付くのはミャンマー人と思しき作業員数人だけで、客はおろか、従業員の姿すら見かけない。しばらくするとやっとホテルの建物に到着し、ジョブは売店(?)のおじさんに目的地の場所をきいた。従業員は親切に行き方を教えてくれた。これで目的地までたどり着けそう!

おじさんに教えてもらった道をすすむ。どうやらミャンマー国境からは遠ざかっているようだが、目的の場所は見えない。途中、ちょっとした市場があり、不釣合いな大型観光バスが停車している場所があり、『ここか?』と思うもどう見ても駅ではない。そのまま通り過ぎ、ささやかな踏切を渡たると、唐突にその駅は姿をあらわした。

この駅を一端として600m向こうの反対側の駅、これも同名のガセー駅。線路は崖に沿って組まれ、下はクウェー川が流れている。風光明媚な観光スポットだが、歩いてわたるとなると話は別。もし、列車と鉢合わせになったら、逃げ場はなし。見通しはいい上に、徐行運転となるので惹かれて死ぬことはないだろうが、かなりこわい目に遭うこと間違いなし。私は素直に反対の駅までは迂回して車でいくことを提案しようと思った矢先、ゴムぞうりにバケツといういで立ちのおじさんが登場した。おじさんはボランティアでこの鉄橋の周囲のゴミひろいをしているという。おじさん曰く、まだ列車は当分来ないから歩いてわたっても問題ないとのこと。タイの列車の時刻表を全く信用していない私は、かなりおよび腰だったが、ジョブはかなり行きたそうだったので、この際、日に何度も往復しているというおじさんに付いて行くことにした。

橋の太い枕木の上を歩く。が、下を見れば枕木越しに地面やら川やらが見えるので、たえず足場をみながら進む。途中、おじさんは「この四角い柱は当時のものだ」とか、「崖のこの部分はダイナマイトで掘削した部分だ」とか解説をしてくれた。「当時は、地元の人間も大勢死んだ」とも。私はおじさんの気分を害さないように、だまってジョブの後を歩いた。もう一端の駅に近くに『ガセー洞窟』がある。中には仏像が安置され、寺になっている。お参りをし、犠牲者の冥福を祈る。駅に到着し、コーラを飲んで休憩しながらジョブに聞いた。「おじさん、日本人が嫌いだっていってた?」、「今は、おかげでいっぱい観光客が来て、街がお金持ちになって、だから嫌いじゃないって」。確かに、そのエピソードのおかげで街はゆたかに観光産業で沸いている。60年前の犠牲者たちはそれで許してくれるだろうかとも思ったが、少なくともおじさんが「日本人を嫌いではない」といってくれたことで少しだけ救われた気がした。

車を反対においてきているので、今度は来た道を戻らなければならない。ゴミを拾いながら戻るおじさんをちょっとだけお手伝い。反対の駅まで着くと、おじさんは「この近くに『チャルーイ洞窟』という、むかし捕虜が寝泊りした場所があるから行ってみるといい。『ガセー洞窟』よりきれいだよ」と教えてくれた。道なりに行ったところだというので、ついでに寄ってみることにした。

いわれたとおり、道なりにすすむと、さっきのちょっとした市場に出くわした。観光地にありがちな市場なので、ここかと思い、よく見ると、出店の後ろに『チャルーイ洞窟』の看板があった。入り口は出店が両脇に連なり、道なりにいけば着きそうと思っていたら、おもむろに岩と落ち葉の山道へと続いていた。乾季の訪れと供に木々は葉を落としたせいか、明るい。山道だけどじめじめしておらず、乾燥してパサパサカサカサした感じ。そんなに遠くないだろうと登り始めたものの、これがどうして、たいそう厳しい。登ったのは時間にして10~15分といったところだが、息も絶え絶え、ぜぇぜぇいいながら登った。登りきったところは平らになっていて、小高い丘のような感じ。かといって、周りは茶色の竹林で視界はさえぎられ、景色を楽しむことはできない。

50mほど進むと、洞窟がおもむろにあった。岩肌にポッカリ、中はホールのよう、というのを想像していたのだか、実際はちがった。なんと表現すればよいのだろう?まず、洞窟に入るには3mほどの崖を下らなければならない。はしごのような階段がかかっているがかなり怖い。中は広いが平らではなく、ところどころに鍾乳洞が突き出ており、ここでどのように大勢の捕虜たちが寝泊りしたのか想像できなかった。だた、ここにたどり着くまでの山道、暗く、じめじめした洞窟が捕虜たちにどんな苦痛をもたらしたかは想像できた。出入りするには必ず崖を上り下りしなくてはならず、まさに天然の牢獄。洞窟の中央には仏像が安置され、洞窟の内部にはところどころにろうそくが灯されていた。少年が、一人、無言でろうそくの燃えさしを片す。洞窟は深く続いているようだったが、先に進むことはできない。手を合わせてそこを後にした。

途中、クッティアオ屋で昼食を済ませ、エラワン国立公園に向かう。7段の美しい滝で知られるこの公園では水遊びもできるので、既に水着も着用済み。まず、公園の管理ゲートで閉門時間が午後5時だと告げられるとともに、タンブン(喜捨)用の封筒をもらう。タンブンの意思がある場合は、この封筒にお金を入れて、帰りにゲートで係員にわたせばいい。この門を過ぎると左手にシーナカリン・ダムのダム湖が広がる。道なりに進むと、エラワン駐車場があるが、ここをあえて素通り。目的はさらにすすんだところにある『プラタート洞窟』だ。この洞窟は寺の敷地内にあるためか、かなり美しいらしい。『ガセー洞窟』、『チャルーイ洞窟』もおそらく奥に進めば自然のままなのであろうが、観光客が入れる範囲は、鍾乳洞の自然の造形はかなり損なわれていた。なので、ガイドブックに『見学には優に2時間かかる』と記載のあったこの洞窟への期待は嫌がおうにも高まる。

車で山を登り始め、しばらく進むと舗装がとぎれた。カラカラに乾いた赤土の道に、車によって巻き上げられた土埃で茶色に染まり、景色は茶色一色。かなりの悪路で時速は約5~20キロあたりをウロウロ。途中、木々の切れ目から、ダム湖が見え、入り江の部分が雲のように見えたのが美しかった。しかし、そんな景色もつかの間、悪路は続く。約1時間半ほど進んだところで、レンジャーの小屋があった。そこでトイレを借りてちょっと休憩。そこから、さらに進むこと10分くらいであろうか、タキアンの大木に出迎えられ、やっと目的の寺に到着。エラワンから40kmの距離に2時間ちかくかかったことになる。ところで、この寺にあるタキアンの木。タイでは強力な精霊が宿るとされる木で、勝手に伐採すると祟りにあうと恐れられている。この寺のタキアンも色とりどりの布を巻かれ、根元には祠がつくられ、信仰の対象となっていた。また、まっすぐに伸びる幹はタイの河川でよく行われるボートレースの船の原料にもなる。丁寧にお払いされた後に伐採され、中を繰りぬかれてそのまま船になる。精霊の力が強いほど、すばらしく速い船に仕上がるそう。きっとこの寺のタキアンもいい船になるに違いない。

寺自体は観光地として特に見るべきものはなかった。境内には2匹のサルが紐でつながれており、1匹はまだほんの子供のサルだった。その脇に1人の僧侶がたたずんでいたのでジョブが洞窟について尋ねた。その僧侶がいうには、洞窟は寺の裏にある、係員と供に入らなければならない、見学には約2時間かかるとのこと。時計を見ると3時前。洞窟に入ることは入れるが、5時の閉門に間に合うか怪しい。それに、ジョブが一番楽しみにしていたエラワンに行くことは不可能。私は洞窟の方が圧倒的に興味があったが、「どっちにする?」と一応訊いてくれるジョブの目は、明らかに「エラワンに行くと言って!」と訴えていたので、しかたなく、「…エラワンでいいよ…。」と了承した。ジョブは「そうだよね!時間もないしね!今度は直接来ようね!(寄り道せずに一番に来ようね、の意味)」と満面の笑み。絶対に次回は洞窟ツアーだ! 苦労してたどり着いたのに、10分もせずに下山することになってしまった。

帰りは慣れたせいか、行きほどは時間はかからなかった。麓までおり、エラワンの入り口で入場料を払う。タイ語では『大人1人20B』英語で『大人1人200B』。私はもちろん、20Bを支払った。自然環境を守るための入場料だが、この外国人価格には納得がいかない。こういった自然公園では、私が見る限りゴミを捨てたりするのは圧倒的にタイ人の方が多い。自然公園のなかで思いっきり歩きタバコをするし、コザを敷いて持ってきた食べ物を散らかし、ゴミを置いてかえる。もちろん、そうではない人もいるが、割合からしてやはりタイ人の方が多い。自然公園に来る外国人旅行者は、やはり美しい自然を求めてやってくるのでやはり、ゴミを捨てるという行為には罪悪感を感じるのだろう。ジョブに、『ゴミは持ち帰る』とか『きたときよりも綺麗に』とか、学校で教えないのかと訊いてみた。ジョブの答え。「教えるよ。でも、教えるだけ。大人だって誰もやらないのに、どうして子供にそれができるの?」ごもっとも。せめて、自分の子供にはゴミは持ち帰らせる躾をしようと心にちかった。「誰もやらないのにどうして?」と質問されたときの答えも用意しておかなければ!

エラワンの滝は7段に分かれているのだが、1段2段目までは飲食可能。3段の手前にゲートがあり、これ以降の飲食物の持ち込みは禁止となり、係員の手荷物チェックを受ける。私たちは、大勢の人でにぎわっている1、2段目の滝をさけ、ゲートを過ぎて3段目の滝を目指すことにした。3段目の滝の手前にはつり橋がかかり、30cmくらいの魚がうようよしている。泳げないこともなさそうだが、なんだかこの魚に食われそうだ。ここをあきらめて4段目の滝を目指すことにした。山道を5分ほど歩いたところで4段目に到着。滝のまえは大きなプール状になっていて水泳にはよい条件。時間もあまりないことだしと、ここで遊ぶことに決定。岩と木の間に荷物を置き、水の中に入る。けっこう冷たい。それに、実は私は前回もここで遊んだのだが、プールの中央はけっこう深くなっていて、前回はここでおぼれかけた(というのは大袈裟だが)ことがあったのだ。ジョブに「真ん中は深いんだよ」と忠告するも、お構いなし。それでも背の立つところで遊んでいた。すると、何かが足をつっつく。それも1箇所ではなくけっこうな数。よく見ると10cmほどの魚が足を突っついている。皮膚についた汚れでも食べているのだろうか?かぶりつかれるわけではないがけっこう痛い。浅瀬に座り、捕獲を試みようと手を水に差し入れる。ところが、足には食いつくくせに手には一向に興味を示さない。ふん、賢いヤツめ。

夕方が近くなると、少し肌寒くなってきた。周りが帰り支度を始めたので、私たちも帰ることに。更衣室は駐車場にしかないので、濡れた水着の上からジーンズを着用。しめったTシャツにジーンズという格好で山を下りたが、震えるほど寒いというわけではなく、ちょっと肌寒い程度。駐車場にある更衣室で着替え、近くの売店でガイヤーン(焼き鳥)ともち米を買って、竹の台に座って食べた。ものすごくおいしかった。

これで今回の小旅行は終わり。家に着いたのは午後9時ごろ。帰ったそばからT.A.T.でもらった地図を広げて次はどこへ行こうと計画を立てました。知られていないポイントが多くって、行き当たりばったりでも発見の多いカンチャナブリー。次はいついけるか楽しみ!







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